【あらすじ】
明治時代の日本が舞台。大金を得る機会を与えるとの怪文書により、明治11年2月に腕に覚えがある292人が深夜の京都・天龍寺に集まった。始まったのは、七つの掟が課せられた奇妙な「遊び」。点数を集めながら、東海道を辿って東京を目指せという。参加者には木札が配られ、1枚につき1点を意味する。点数を稼ぐ手段は、ただ一つ。大金を必要としていた剣客・嵯峨愁二郎は、十二歳の少女・双葉と共に道を進んでいくが、強敵が次々現れる。金か、命か、誇りか。滅びゆく侍たちの死闘が始まる。
【発売年】
2022年
【出版社】
講談社
【連載誌】
モーニング
【巻数】
既刊3巻(2023年12月21日現在)
【上位レビュー】
歴史物が好きなら間違いなく好きになります。歴史物のif がとても上手く使われています。あの時代の大きな変化、偉人も市井の民もみな思うことがあったはず。それはまさに今この時代にも訪れているように感じます。変化を良しと捉えるか、過去の賜物を守り抜くのか、コロナや戦争、そしてAI が席巻するこの時代にも通じるものがありました。人は何のために生き、何を得たいのか、そして何を守りたいのか。そういった人々の迷いや思いが非常に丁寧かつ力強く描かれています。映像にしたら、途端に陳腐になってしまうような、力強くも繊細な描写。本音と建前さえ消え、訳のわからない我欲や無教養が跋扈する今。まさに生きるとはなにかを考えさせられました。とても素晴らしい作品です。
新たな蟲毒参加者のたちのプロフィールが語られ、参加者同士の因縁のバトルが続きます。さらに、開催者の陰謀が暴かれ、これに対抗するため立ち上がった嵯峨愁二郎グループと警視局謀反グループが対峙します。ドキドキの展開ですね。だけど、ひとつだけ難をあげると、前巻(天)の構成があまりに素晴らしかったため、この巻きで語られる新たな蟲毒参加者のたちのプロフィールが、ややテンポ悪く感じられてしまいました。良作が故の不満でしょうね。
原作装丁のイラストとはキャラクターのイメージが異なりますが、違和感なく楽しめました。
マンガならではの迫力やアクションのスピード感もあり、続きが気になります。
【下位レビュー】
主人公は人斬りしてでも家族の為に大金を得るという信念だと思うんですが、この巻の後半はそんなことしたら蠱毒自体中止になるんじゃ?という行動ばかりなのが気になった。