【あらすじ】
東京雅音楽大学に通う神崎茜音は、有名音楽プロデューサーである父・神崎仁と、「在学中にデビューできなければ父親のレコード会社で事務として働く」という約束をしていた。しかし、1年後に卒業を控えてなお、作曲コンペは最終選考止まりで、夕影名義でネットに投稿しているボカロ曲も再生回数3桁止まりだった。そんなある日、灯という歌い手が自分の曲ばかり歌ってくれていることに気づく。灯の歌声に感動した茜音は、灯にユニットを組むことを提案。卒業までの1年以内にデビューすることを決意するのだった。
【発売年】
2022年
【出版社】
小学館
【連載誌】
ビッグコミックスピリッツ
【巻数】
既刊6巻
【上位レビュー】
1990年代のスピリッツは黄金期で、一つ一つの作品がストーリーがきちんと作られていました。今作は良い意味であの頃のスピリッツ作品を彷彿とさせる感じです。才能のある父親と違い息子の茜音は音楽制作では未だ羽開く事ができず、日々踠き苦しみながら物語が進んでいきます。人気のないボカロpとして活動していると、ネット上で一人の歌い手の少女とある日出会い、そこから物語が大きく動き出します。キャラの感情表現が上手く、読者も自然と主人公の茜音の気持ちとシンクロし、苦しみ、泣き、怒り、喜び、色々な感情が揺さぶられる素晴らしい作品だと思いました。きちんと物語が最後まで描ききられたら、今後死ぬまで繰り返し読み返す作品の一つになると思います。最初は出版社が出してるマンガワンというアプリで読んでましたが、読み出すと止まらなくなったのでコミックを一気買いしました。
時折はっとさせられるようなシーンに惹き込まれる。
登場人物たちの不器用ながらも足掻いている感じが、作品そのものからも滲み出ているようで好き。ボカロ曲にせよ動画にせよ漫画にせよ、現代は誰でもネットで発表できる反面、誰からも評価されなかったクリエイター未満たちの嘆きや悲哀がいっそう溢れているわけで。そんな彼ら、彼女らにとって「誰かに届いた」という実感は、何ものにも代え難い幸福だよなあとしみじみ。
音楽漫画は数あれどボカロP漫画は珍しい気がする。
切実で瑞々しくて熱い漫画。漫画もいまいち売れてないみたいだけど負けないで続いてほしい。
【下位レビュー】
ボカロPをテーマにしている漫画ということで物珍しさで読んでいます。「あーあるあるw」みたいなことはちょくちょくありますが、感情移入できるかというと難しいです。主人公の悩みが結構ポンポン解決される、よく言えばテンポが良い漫画です。ボカロP云々よりももしかしたら音大生のほうが感情移入できるかもしれません。